債務整理のひとつである「任意整理」は、将来利息をカットし、返済の負担を軽くできる手続きです。元金だけ返済すればよい、借入先を選べる、手続きが簡単などのメリットがありますが、ブラックリストに載るなどのデメリットもあります。

「任意整理しなければよかった」と後悔しないために、デメリットを把握し、自分が任意整理に向いているのかどうかを知っておきましょう。

この記事では、任意整理のデメリットやしない方がよいのはどのような場合かについて、解説します。

そもそも任意整理とはどんな手続き?特徴を確認しておこう

債務整理の中で最も利用者が多い任意整理ですが、どのような手続きなのかを確認しておきましょう。

任意整理は、債権者と直接交渉し、利息のカットや返済期間の延長をお願いする手続きです。他の債務整理のように裁判所は介さず、当事者同士が話し合って合意することによって成立します。

任意整理のメリットは?

任意整理には次のようなメリットがあります。

  • 将来利息をカットし元金のみの返済になる
  • 過払い金が発生していれば元金も減額できる
  • 借入先(債権者)を選べる
  • 裁判所を介さないため手続きが簡単
  • 債務整理の中では費用が安め
  • 督促をストップできる
借入先を選べるのは任意整理ならではのメリットです。費用は1社あたり3~5万円と弁護士に支払う減額報酬(10~20%)だけです。債務整理全般にいえることですが、弁護士に依頼した時点で督促はストップします。

任意整理ができる条件は?

任意整理は誰でも利用できるわけではなく、次のような条件があります。

  • 返済意思があること
  • 3~5年で完済できること
  • 安定した収入があること
減額された借金を計画的に返済していかなくてはいけないため、返済意思があることはもちろん、3~5年で完済するための安定した収入が必要です。

任意整理のデメリットは5つ!大きなデメリットはブラックリストに載ること

債務整理に共通するデメリットですが、任意整理のデメリットで大きいのは、ブラックリストに載ることです。

デメリット① ブラックリストに載る

ブラックリストに載るとは、個人信用情報機関に事故情報(任意整理したという事実)が載ることで、任意整理の場合、約5年間登録されます。ブラックリストに載ると、次のようなデメリットが発生します。

  • クレジットカードが利用できない
  • あらゆるローンが組めない
  • 新たな借入ができない
  • 分割払いができない
  • 保証人になれない
クレジットカードを持つなら、デポジットカードや家族の名義で作った追加カードに限られます。住宅ローンを組むこと、携帯の機種代金の分割払い、子どもの奨学金の保証人になることなどはすべてできなくなります。

ただし、任意整理の手続き中に過払い金請求をして完済できた場合は、ブラックリストに載りません。

過払い金請求をして借金が残った場合は、任意整理をしたとしてブラックリストに載ります。

デメリット② 債権者が応じてくれない場合がある

任意整理は債権者が応じてくれないことには成立しません。大手消費者金融などは基本的に応じてくれますが、一部の業者は応じてくれないか、応じてくれても厳しい条件を突き付けてくることがあります。

任意整理に応じるかは債権者次第なので、交渉の得意な弁護士に依頼するか、個人再生や自己破産など他の債務整理での解決を図るしかありません。

デメリット③ 元金はカットできないため減額率は低い

任意整理で減額できるのは、将来利息です。遅延損害金のカットができることもありますが、応じてくれる債権者はごく少数です。元金は減額できないため、債務整理の中では減額効果が低い手続きです。

過払い金が発生していれば大幅な減額も期待できますが、任意整理で減額できるのは基本的に将来利息のみです。元金は返済していかなければならないので、借金が多額の場合や低金利の場合は効果を得にくいです。

デメリット④ 銀行系カードローンは預金口座を凍結される

借金が銀行系カードローンの場合、任意整理をすると預金口座を凍結される恐れがあります。

銀行は債務者の預金債権を借金と相殺する権利を持っているため、預金を回収に充てようとします。一旦凍結されると解除までに2~3ヶ月ほどかかり、生活に影響が出る可能性があります。

任意整理の対象とする口座は必ず凍結されるので、事前に預金を引き出しておく、給料振込や公共料金引き落としに指定している場合は別の口座に変更しておくなどの手続きが必要です。

デメリット⑤ 強制執行による差し押さえを阻止できない

すでに借金を滞納している場合、債権者は最終手段として差し押さえを行います。差し押さえでは、家や車、給与、預金口座など、さまざまな財産が対象となるため、何とかして回避したいものですが、任意整理には阻止する効力がありません。

個人再生や自己破産では、裁判官から許可が下りれば差し押さえを阻止できるので、差し押さえを回避したいという方は、任意整理以外の方法を試みた方がよいでしょう。

任意整理には向き不向きがある…どんな人が向いているの?

任意整理をしても、メリットよりデメリットが上回ってしまう場合は、他の債務整理を検討した方がよいかもしれません。任意整理の向き不向きをまとめました。

任意整理が向いている人 任意整理が向いていない人
利息をカットすれば返済が楽になる人
 守りたい財産があり債権者を選びたい人
 手続きに時間をかけたくない人
 保証人に迷惑をかけたくない人
借入額が多額の人
 (利息をカットしても返済の目途が立たない人)
  借入額が少額の人
 低金利の借金の人(奨学金など)

借金がいくらぐらいあれば任意整理できるというような基準はありませんが、借金が多額だと利息をカットしても返済がきついですし、少額だと弁護士費用の方が高くなってしまうことがあります。

奨学金やカーローンなど、もともと低金利の借金は、任意整理しても減額効果が低いのでおすすめできません。

任意整理をして本当に効果があるか、見極める必要があるでしょう。

任意整理しようか迷っている方はまず弁護士に相談しよう!

任意整理は、向いている人にとっては非常に有効な手段ですが、向いていない人もいます。しなければよかったと後悔しないためには、一度、弁護士に相談するのがおすすめです。

借金に関する相談は無料で行っている法律事務所は多いので、気軽に相談してみましょう。自分にとって最適な債務整理手続きはどれなのか、専門家の視点から見て適切なアドバイスをもらえるでしょう。