国からお金を借りるには?即日でいける?公的融資の種類や申請の方法を解説

どうしてもお金に困っている時、銀行や消費者金融カードローンでは貸してもらえなかったという方も、国の融資制度を利用すれば、借りられるかもしれません。

民間企業ですと、定職についていないと審査を通過するのは非常に難しいですが、国の支援なら、現在無職で生活に困っている人にも融資してくれる制度があります。

お金がない、生活できないというときに、生活保護を思い浮かべる人が多いと思うのですが、その前に利用できる国の制度がたくさんあります。融資の種類にもよりますが、金利も低めに抑えられているので、余裕を持って返済していけるでしょう。

今回は、どのような種類の融資があるのか、限度額や申請方法など、国からお金を借りる方法についてまとめました。

また、人によって適した制度が違いますので、私はどの制度を利用できるだろう?とお困りの方も是非参考にしてください。

Contents

国からお金を借りる!困った時に利用して欲しい公的融資制度一覧

国の融資制度の特徴は、何といっても金利が低いことです。場合によっては無利子の貸付もありますので、返済も楽になるでしょう。

まずはどのような貸付があるか、一覧表にまとめました。

制度名 金利 融資限度額 連帯保証人 返済期間 融資の早さ 審査の厳しさ
生活福祉資金貸付制度 保証人あり:無利子
    保証人なし:1.5%
・総合福祉資金:15万円〜60万円
・福祉資金:上限580万円
・緊急小口資金:10万円
・教育支援資金:上限50万円
・不動産担保型生活資金:月30万円以内
原則必要 10年〜20年
    (貸付の種類によって違う)
2週間〜
  (貸付の種類によって違う)
・総合支援資金は自立支援制度を利用することが条件
・返済の目処があることが条件(日常的に生活費が不足している場合は不可)
求職者支援資金融資制度 3% 月額5万円または10万円×受講予定訓練月数 不要
    (ただし労働金庫指定の保証機関を利用する)
貸付から5年以内
  (50万円以上の場合は10年以内)
2週間〜1ヶ月 労金の審査で落ちることもある
勤労者融資制度 年1.5% 200万円〜300万円
(自治体によって違う)
不要 3〜5年 1〜2週間 即日融資は難しく審査も厳格
母子父子寡婦福祉資金貸付 保証人あり
    保証人なし:1.0%
12種類の給付によって違いがある 原則必要だがいなくても借りられる 給付の種類によって違う 1〜3ヶ月 返済能力があること
教育一般貸付 年1.68% 上限350万円〜450万円 原則必要
        (保証人なしの場合は教育資金融資保証基金の利用が必要)
最長15年 2〜3ヶ月 所得制限は下限がないので比較的申し込みやすい
日本学生支援機構 制度によって違う 月額2万円〜6万4千円 必要 借入額、所得額によって返還額が変動 申し込んだ直近の振込時期 平均以上の成績があれば難しくない
看護師等修学資金 無利子 月額2万5千円〜8万3千円
(自治体により違う)
必要 原則として貸付を受けた期間内に返済 自治体によって違う 指定された学校に通っていればOK
年金担保融資制度 年金担保貸付:2.8%
労災年金担保貸付:2.1%
10万円〜200万円 原則必要
      (保証人なしの場合は信用保証機関の利用が必要)
受給している年金から返済 約4〜5週間 使途や必要性の確認のため見積書等の資料提出が必要
日本政策金融公庫 制度により異なる 平均700万円(国民生活事業) 個人の場合は不要 制度により異なる 2週間 返済可能であること、信用情報機関に事故記録がないこと
臨時特例つなぎ資金貸付制度 無利子 10万円 不要 1ヶ月以内 1週間程度 他の融資の申請が受理されていること

※生活福祉資金貸付制度については項目が多いため、次章で詳しくご紹介します。

国からお金を借りる方法の1つ、求職者支援資金融資制度

復職のために職業訓練を受ける予定だけれど、実際に就職が決まるまでの生活費が足りないという時に利用できるのが求職者支援資金融資制度です。

職業訓練を受けると職業訓練受講給付金を受けることができますが、その給付金をもらってもなお生活費が不足している人が申請できます。

まず、職業訓練受講給付金の受給が決まっていることが条件です。

  • ハローワークに求職の申し込みをしている
  • 雇用保険の受給資格がない
  • 働く意思と能力がある
  • 職業訓練の支援が必要とハローワークが認めた人

この条件をクリアしないと、職業訓練受講給付がもらえませんので、そうすると求職者支援資金融資制度も利用できないので注意しましょう。

受給が決まり、ハローワークで「求職者支援資金融資要件確認書」を交付してもらうと、利用できるようになります。

この時注意して欲しいことが、「必ず返します!」という意思表示をしっかりしないと、ハローワークで認めてもらえない可能性があるということです。

給付金とは違い、あくまでも貸付なので、役所としてはきちんと返済して欲しいと考えています。

しっかり働いて生活を再建したいので、そのために今この資金が必要です、きちんと返しますという意思が伝わって初めて貸付OKとなりますので、返済の意思表示をしっかり伝えましょう。

また、貸付にあたり、正当な理由があると認められることも必要です。

貸付額は、以下の通りです。

  • 月額10万円×受講予定訓練月数:同居または別居の配偶者、子供、父母がいる場合(生計同一が条件)
  • 月額5万円×受講予定訓練月数:単身者など上記に該当しない場合
いずれも上限額で、月数は最大12ヶ月です。なお、借りられるのは「受講予定」の月数となっていますので、貸付の申請を行った時点で、まだ職業訓練受講給付金の支給の決定が行われていない月数のみとなります。

最終的には、労働金庫の審査がありますので、金融機関として返済できるかどうかを審査します。場合によってはこの段階で審査に落ちる可能性もなきにしもあらずです。

なお、審査に通った場合には、労働金庫の口座に一括で振り込まれますので、労働金庫の口座を作る必要もあります。

働いている人のための勤労者融資制度も国からお金を借りる方法

勤労者融資制度とは、各都道府県と中央労働金庫が一体となり、働く人を支援する制度です。

ここでは、東京都を例に、貸付制度について説明します。

融資の種類 限度額 利率 返済期間
個人融資(さわやか) 70万円以内
医療、教育、冠婚葬祭、住宅の増改築は100万円以内
1.8% 3年以内(70万円超は5年以内)
子育て・介護(すくすく・ささえ) 100万円以内 1.5% 5年以内
家内労働者生活資金融資 70万円〜130万円 1.8% 5年以内

融資の要件は、

  • 都内に住んでいるか勤めていること
  • 住民税を滞納していないこと
  • 返済の見込みがあること

となっています。

各都道府県が窓口になっていますので、お住まいの地域の貸付条件をそれぞれ確認してください。

母子父子寡婦福祉資金貸付を利用して国からお金を借りる

母親もしくは父親のみの家庭では、生活に必要なお金だけでなく、子供の教育や親自身の就職に必要なお金など、幅広い種類の貸付を利用できます。

対象となるのは、以下の条件の人です。

  • 20歳未満の子供を扶養している
  • 配偶者と死別または離婚した人

貸付の種類が非常に多く、12種類もあります。

貸付の種類 限度額 利率 返済期間
就職支度資金 100,000円 保証人あり:無利子
保証人なし:年1.0%
(児童に貸し付ける場合は無利子)
6年以内
事業開始資金 2,870,000円 保証人あり:無利子
保証人なし:年1.0%
7年以内
事業継続資金 1,440,000円 保証人あり:無利子
保証人なし:年1.0%
7年以内
医療介護資金 340,000円〜500,000円 保証人あり:無利子
保証人なし:年1.0%
5年以内
住宅資金 1,500,000円(特別2,000,000円) 保証人あり:無利子
保証人なし:年1.0%
6年以内(特別は7年以内)
転宅資金 260,000円 保証人あり:無利子
保証人なし:年1.0%
3年以内
就学支度資金 63,100円〜590,000円 保証人あり:無利子
保証人なし:年1.0%
5年〜20年以内
結婚資金 300,000円 保証人あり:無利子
保証人なし:年1.0%
5年以内
修学資金 月額48,000円〜96,000円 無利子 20年以内
(専修学校一般課程は5年以内)
生活資金 月額105,000円〜141,000円月額68,000円(運転免許:460,000円) 保証人あり:無利子
保証人なし:年1.0%
5年〜20年以内
技能習得資金 月額68,000円(運転免許:460,000円) 保証人あり:無利子
保証人なし:年1.0%
20年以内
修業資金 月額68,000円(運転免許:460,000円) 無利子 20年以内

一部、保証人なしの場合には利子がつきますが、ついても年利1%です。

非常に手厚い支援となっていますので、ひとり親家庭の人はぜひ検討してください。

教育一般貸付(国の教育ローン)で国からお金を借りる方法もある

子供一人当たり350万円、一定の要件に該当すれば450万円まで借入ができる教育ローンです。

一定の要件とは、

  • 自宅外から通学していること
  • 修業年数が5年以上の大学に通っている
  • 大学院に通っている
  • 海外留学(3ヶ月以上)

これらのいずれかに該当することです。

上記の要件以外の方は、350万円までとなります。

金利は固定で1.68%と低く抑えられていますし、在学中は利息のみの返済でもOKです。最長15年の長期返済が可能なので、計画を立てやすいのではないでしょうか?

たとえば100万円借りて、返済期間を10年としますと、毎月の返済額は9,200円となります。ひとり親家庭や低所得者層の場合には金利の優遇や返済期間の延長制度などもありますので、ぜひ相談してみてください。

連帯保証人は、4親等内の親族から立てることとされていますが、保証人なしでも利用可能です。その場合は、教育資金融資保証基金による保証を利用します。

公的な融資には珍しく、24時間インターネットから申し込みが可能です。郵送でも申し込みができますので、来店不要で手続きできるのも嬉しいところです。

まだ合格が確定していない段階での申し込みも可能です。合格発表の時期は申し込みが殺到しますので、必要な時期に間に合わないということも考えられます。

日本政策金融公庫では、必要時期の2〜3ヶ月に申し込むようにと言っていますので、志望校が決まった段階で申し込んだ方が良いでしょう。万が一、進学しないということになっても、キャンセルは可能なので、安心してください。

次にご紹介する、日本学生支援機構の奨学金と併用も可能なので、授業料だけでなく、受験の費用など幅広いニーズに応えられる融資です。

日本学生支援機構の制度も国からお金を借りる方法の1つ

こちらは、保護者が借りるのではなく、学生本人に貸付する制度です。対象となるのは、

  • 大学院
  • 大学
  • 短期大学
  • 高等専門学校
  • 専修学校(専門課程)

です。

利子のつく奨学金と無利子の奨学金がありますが、大学を例にして奨学金の額などをまとめました。

種別 利率 対象 融資額
第一種 無利子 特に優れた学生で経済的理由によって修学が困難な場合 ・国公立(自宅)20,000〜45,000円
・国公立(自宅外)20,000〜51,000円
・私立(自宅)20,000〜54,000円
・私立(自宅外)20,000〜64,000円
第二種 在学する学校長の推薦を受ける 3%(在学中は無利子) ・大学:月額20,000〜120,000円(10,000円刻み)
※私立医療系学部は20,000〜40,000円の増額が可能
・大学院:月額50,000〜150,000円
・高等専門学校(専科):月額20,000〜120,000円(10,000円刻み)
・専修学校(専門課程):月額20,000〜120,000円(10,000円刻み)
入学時特別増額 第一種または第二種に加えて増額するもの 第一種または第二種に準じる 100,000円〜500,000円(1回の貸与)
※入学前の貸与でないことに注意
海外留学の奨学金(給付型) 学位取得のための海外留学 3%(上限) ・月額59,000円〜118,000円
・授業料:実費(上限250万円)
※3ヶ月以上1年以上の短期留学もあり

医療関係の資格を取るための看護師等修学資金

看護師等修学資金は、看護師だけでなく、国家資格を取得し、医療機関で働こうとする人を支援する制度です。

事業を行っているのは各自治体ですが、申込書は4月に通っている学校を通じて提出します。学校からまとめて、都道府県に提出します。

貸付金額は各自治体によって違うため、ここでは東京都を例にして説明します。

種別 金額 条件
第一種貸与(一口まで) 保健士・助産師・看護師
 国公立:32,000円
 その他:36,000円
准看護師:21,000円
大学院修士課程:83,000円
返還免除規定あり
免許取得後、直ちに指定施設で5年間看護業務に従事する
(大学院修士課程修了後、1年以内に医療機関で5年間看護業務に従事する)
第二種貸与(最大二口まで) 対象となる全ての課程:25,000円 免許取得後、必ず返還する

第一種と第二種を合わせて借りることもできます。

東京都の場合、申込年度は3回、次年度以降は4回に分けて振り込みされます。

日本政策金融公庫で国からお金を借りる

先ほどご紹介した国の教育ローンも日本政策金融公庫の融資なのですが、子供の教育と用途が限られていました。こちらの事業のお金は、起業したり、継続させるための貸付です。

融資は3種類あり、それぞれ事業の性質が違います。

  • 国民生活事業:小規模企業向けの開業資金など
  • 中小企業事業:中小企業向けの長期事業資金
  • 農林水産事業:農業や漁業、食品産業等の事業資金(中小企業に限る)

融資の種類が非常に多く、それぞれ融資額が違いますので、代表的なものを表にまとめました。利率については種別によって違いますが、およそ1%〜2%となっています。

一般の人が借りるとしたら、国民生活事業の一般貸付が多いでしょう。

【国民生活事業】

種別 用途 融資上限額 融資期間等
一般貸付 事業資金 4,800万円(特定設備資金:7,200万円) 設備資金10年以内、特定設備資金20年以内、運転資金7年以内
セーフティネット貸付 経営環境変化対応資金 売り上げの減少等 4,800万円 融資期間:設備資金15年以内、運転資金8年以内

※据置期間1〜3年

【中小企業事業】

種別 用途 融資上限額 融資期間等
新企業育成貸付 新事業育成資金、女性・若者・シニア起業家支援資金など 7億2,000万円 設備資金20年以内、運転資金7年以内
IT活用促進資金 情報化投資を行う資金 7億2,000万円 設備資金20年以内、運転資金7年以内

※据置期間2〜5年

【農林水産事業】

種別 用途 融資上限額 融資期間等
青年等就農資金 認定新規就農者 3,700万円 融資期間:25年以内
スーパーL資金 認定農業者 個人:3億円、法人10億円 融資期間:25年以内

※据置期間3〜25年

臨時特例つなぎ資金貸付制度で国からお金を借りる

「つなぎ」という名称の通り、公的融資が決まっているけれど、実際にお金が振り込まれるまで生活ができないという人のための融資です。

  • 家がない、仕事もない
  • 公的融資の申請が受理されている
  • 自分名義の金融機関口座を持っている

という条件があります。

この条件全てを満たしている人が、10万円以内の貸付を受けられます。

すでに公的融資の対象となっている人ですし、急ぎの給付ですので、連帯保証人は不要、利子もつきません。

返済期間は1ヶ月以内と短いですが、公的融資を受けてからで良いので、無理なく返済できるでしょう。

一つだけ、注意点があります。公的融資の申請が受理されていれば申し込みはできるのですが、万が一審査で却下となってしまった場合でも、このつなぎ資金は返済しなくてはなりません。

虚偽の申請をするなど悪質な行為がなければ、却下されることはあまりないのですが、可能性はゼロではありません。

困った時に頼って欲しい生活福祉資金貸付制度一覧

生活福祉資金は、用途によっていくつかの種類があることを最初にご説明しました。それぞれ、どのような貸付なのか、さらに詳しく説明しましょう。

対象者は、

  • 他から資金を借りることが難しい低所得者世帯
  • 障害者世帯
  • 高齢者世帯(65際以上)

となっています。

どれか一つしか利用できないわけではなく、最も多く利用される総合支援資金と緊急小口資金は併用することが可能です。

生活に困っている人のための制度ではありますが、あくまでも「貸付」であるため、返済能力があることが前提となります。

まずは住むところを確保し、定職について、それでもなお生活が苦しいという人のために、生活を立て直すサポートをするのがこの融資の趣旨ですから、多重債務者であったり、住むところもないという状態では、審査に落ちてしまう可能性が高いです。

生活再建のために必要な資金:総合支援資金

総合支援金には、3種類あります。

失業等により生活に困っている人のために、生活費だけでなく、就職や転職に必要な技能を習得するための経費などに使うこともできるお金です。

【貸付要件】

  • 低所得者世帯(住民税非課税世帯)
  • 住居の確保ができること
種別 用途 金額 返済
生活支援費 生活再建までに必要な費用 ・2人以上:月20万円以内
・単身:月15万円以内
・原則3ヶ月(最長12ヶ月)
最終貸付から6ヶ月以内
住宅入居費 賃貸契約を結ぶための費用(敷金、礼金等) 40万円以内 最終貸付から6ヶ月以内
一時生活再建費 ・一時的な生活費
・就職・転職を前提とした技能習得
・公共料金立替(滞納している場合)
・債務整理をするための費用(弁護士費用等)
60万円以内 最終貸付から6ヶ月以内

原則保証人が必要ですが、保証人がいなくても借りることはできます。その場合には利子が年1.5%となりますが、60万円の借入でも1万円にも満たないので、負担は小さいでしょう。

また、返済期間は10年と長いので、仕事を見つければ、計画的に返済していけます。

なお、この総合支援資金と、この後説明する緊急小口資金については、平成27年4月に法改正があり、生活困窮者自立支援制度に基づく自立支援相談事業を利用してからの貸付となっています。

総合支援資金の趣旨は、ただ生活費を低利で貸すのではなく、仕事を得て経済的に自立できるよう支援するということですから、働ける人はハローワークに求職申込をすることなどが条件となっているのです。

たとえば、支援員がその人にあったプランを考えて、就労支援を行ったり、住む場所さえない人には宿泊場所を提供したり、今後の自立に向けてできることを一緒に考えていく支援制度です。

また、失業によって住む家も無くなってしまった場合には、総合支援金の前に住居確保給付金の相談が必要になります。住む家があることが前提となっているためです。住む家さえ決まれば、住宅入居費の貸付が受けられます。

なお、現在は新型コロナウイルスの影響によって生活に困窮している人のために、要件が緩和されています。

  • 据置期間:6ヶ月→1年以内
  • 保証人なし:年利1.5%→無利子

また、本来は自律相談支援事業による支援が貸付の条件となっていますが、現在はその支援が不要となっています。

病気や障害によって介護が必要なとき:福祉資金

障害者や高齢者がいる世帯で、日常生活には困らないものの所得が少なく、一時的にまとまったお金が必要な人に貸付をする制度です。

使途が限定されていますので、何にでも使えるわけではありません。

金額は目的によって違いますが、最大で580万円となっています。

使途によってこれだけの差がありますので、一覧表にまとめました。

目的 上限金額 返済期間
生業を営む 460万円 20年
技能習得 130万円〜580万円(期間によって違う) 8年
住宅の増改築 250万円 7年
福祉用具の購入 170万円 8年
障害者用自動車の購入 250万円 8年
中国残留法人等の国民年金保険料追納 513.6万円 10年
怪我、病気の療養費と生計維持費 170万円〜230万円(療養期間による 5年
介護サービス・障害者サービス 170万円〜230万円(サービスを受ける期間による) 5年
災害による臨時費 150万円 7年
冠婚葬祭 50万円 3年
住居の移転等 50万円 3年
就職の支度等 50万円 3年
その他、一時的に必要な経費 50万円 3年

融資のスピードが早い緊急小口資金

緊急小口資金は、分類でいうと福祉費に含まれる貸付です。

上限は10万円ですが、他の貸付よりも借りられるスピードが早いので、仕事を失って、明日の食べるものにも困っているなど、緊急を要すると判断される場合に借りることができます。

緊急小口資金も、原則として自律相談支援事業の利用が貸付の要件となっています。自立に向けてどう支援していくのかということと合わせて、総合的な相談を含めた貸付制度となっています。

現在は、新型コロナウイルスの影響によって休業した方なども対象となっており、貸付金額も20万円に拡大されています。保証人も不要ですので、一時的に困っている方はぜひ相談してください。

なお、利子はつきませんので、返済も楽になります。償還期限は12ヶ月となっていますが、最大で2年まで伸ばすことができます。

子供の進学費用など:教育支援資金

教育支援費にも2種類あります。

主に高校や大学の授業料に使うのが教育支援費、入学に際しての費用として使うのが就学支度費です。

種別 上限額
教育支援費(いずれも上限額) ・高校:月3.5万
・高専・短大:月6万円
・大学:月6.5万円
※特に必要と認められた場合は最大月額の1.5倍
就学支度費 50万円以内

いずれも、償還期間が20年と長いです。教育支援費については借入期間も長く、高額になりがちですから、償還期間が長いのはありがたいですね。

保証人は不要なのですが、世帯の中で連帯借受人を立てることが必要です。例えば、親が申し込む場合には子供(就学者)が連帯借受人になりますし、子供が申し込む場合には親(生計の中心者)が連帯借受人になる必要があります。

そして最も大事な点は、困窮していれば誰でも貸付を受けられるわけではないということです。

高校は3年間、大学は4年間と長期にわたって借入することになりますので、金額もそれなりになります。

低所得者といっても、日常生活さえ送れないほど困っている場合には、100万円〜200万円にもなる借入を返済できなくなる可能性があるため、融資を受けられないことがあります。

その場合には、たとえば母子父子寡婦服資金貸付制度を利用したり、日本学生支援機構の奨学金制度を利用するなど、他の制度を検討してからということになります。

持ち家を手放さずにお金を借りられる:不動産担保型生活資金

不動産担保型生活資金は、2種類あります。生活の困窮度によって貸付額が変わりますが、いずれも今の家に住み続けたままお金を借りることができる制度です。

種別 対象者 貸付限度額 保証人
不動産担保型生活資金 低所得の高齢者世帯 土地の評価額の70%・月30万円以内 要(推定相続人の中から選ぶ)
要保護世帯向け不動産担保型生活資金 要保護の高齢者世帯 土地の評価額の70%(集合住宅の場合は50%)・生活扶助額の1.5倍以内 不要

どちらも、借りた人が亡くなるまで、もしくは貸付限度額に到達するまで借りることができます。利子は年3%、または長期プライムレートの低い方が適用されます。

借りられる条件ですが、

  • 申込者が所有している、または配偶者との共有
  • 利用権、担保権が設定されていない
  • 65歳以上
  • 住民税非課税世帯
  • 3年以上住んでいること
  • 1,500万円以上の不動産価値があること(一戸建て住宅飲み)
  • 相続人全員の同意があること

などがありますので、家さえあれば簡単に借りられるかというと、そうでもありません。

登記簿謄本など不動産関連の書類も用意しなくてはなりませんので、手続きにも手間と時間がかかります。

貸付が決定すると、根抵当権登記などが必要となり、司法書士への委託料などが自己負担となります。

また、申し込みをしてから実際にお金が振り込まれるまで、最短でも6ヶ月程度かかります。もし借入を早くしたい人は、余裕を持って準備をした方が良いでしょう。

貸付期間が長期にわたる場合、3年ごとに土地の再評価を行い、土地の価値を見直します。これによって借入額に変動が生じる場合もあります。また、再評価にかかる費用は、自分で負担しなくてはなりません。

借りたお金は、家の所有者が亡くなった時、もしくは貸付契約を解約した時に返済します。

本人がなくなっている場合には、相続人が一括して返済することになりますので、子供がその家に住み続けるということができなくなります。

年金受給者が国からお金を借りるなら年金担保貸付制度

年金受給者が、自分が受けている年金を担保にお金を借りることができる制度です。

通常、年金の受給権を担保にお金を貸すことは法律で禁止されているので、この担保制度だけが唯一法令で認められた制度だということです。

融資を受けられる対象者は以下の証書を持っていて現在受給している人です。

  • 厚生年金・国民年金・船員保険
  • 労働者災害補償保険

融資額は年金受給額によって変動

融資額は10万円〜200万円の範囲内で、1万円単位となっています。ただし、生活必需品の購入に充てる場合には、上限が80万円となっています。

誰でも200万円まで借りられるわけではなく、受給している年金額の0.8倍なので、もし年額が100万円なら80万円までとなります。

また、1回あたりの返済額の15倍以内とされていますので、返済額とも合わせて融資額他決まります。

  • 年金担保貸付:2.8%
  • 労災年金担保貸付:2.1%

利子は上記のようになっており、労災年金の方がやや低めではあるものの、それでも消費者金融等、民間会社よりは低い金利となっています。

原則として連帯保証人が必要となりますが、どうしてもいない場合には、信用保証期間の保証制度を利用することも可能ですので、相談してみてください。

なお、年金担保貸付制度は、令和4年3月末で新規の申込受付は終了します。

国からお金を借りると使途が限られている

年金担保貸付は、単に生活費が足りないからといって気軽に借りられるものではありません。

年金という、セイフティネットを担保に貸付をしますので、

  • 保健・医療
  • 介護・福祉
  • 住宅改修
  • 冠婚葬祭
  • 生活必需品の購入
  • 債務等の一括整理
  • 事業の維持
  • 教育

など、使途が限定されています。

旅行に行きたい、ちょっとお金が足りないから借りておきたい、という理由では借りられません。

申し込みに際しては、資金の使途が確認できる資料(見積書や請求書など)が必要となりますので、借りるためのハードルはそれほど低くはないでしょう。

国からお金を借りると完済するまで年金受給額が減ることに注意

返済方法ですが、別途口座から引き落としなどがされるのではなく、2ヶ月に1度振り込まれる年金から差し引かれる形で返済します。

返済額は1万円単位となり、上限は1回あたりの受給額の3分の1までです。もし1回の受給額が20万円だった場合、1万円〜6万円の範囲内で返済していくこととなります。

返済は、おおむね2年半以内で終わるように金額を設定しますが、それでも毎回の受給額が減ってしまうため、計画的に利用していきましょう。余裕があれば、繰り上げ返済も可能です。

なお、融資を受けられた月の翌々月以降の偶数月から返済が始まりますので、急に受給額が減ったと驚かないようにしてください。

住むところもない!どうしても今すぐ国からお金を借りたい場合

失業などにより、収入の当てがなく、しかも住んでいるところも追い出されてしまった。このような緊急事態に利用して欲しいのは、「臨時特例つなぎ資金貸付制度」です。

生活保護を受給するのに十分な要件があっても、申請してすぐにお金が振り込まれるわけではありません。

そんな時に、「つなぎ」として借りられる融資ですから、ぜひ利用してください。

他の公的支援の申請が受理されているときでも、実際に振り込まれるまでにお金が足りないという方は利用できるので、相談してみてください。

無職の人が国からお金を借りるなら

無職だけれどとりあえず住むところがあり、職業訓練を受けている人(または職業訓練をしている人)は、求職者支援資金が利用できます。

まだ再就職の目処も立たないし、家を借りるための費用すらないという人は、生活福祉資金の総合支援資金を利用しましょう。

総合支援資金を申請するためには、自律相談支援事業の支援を受ける必要がありますので、ハローワークなどと連携して仕事に就くための支援も受けながら、貸付を利用できます。

母子・父子家庭の人が国からお金を借りるなら

配偶者と死別または離婚して、20歳未満の子供を育てている方は、母子父子寡婦福祉資金貸付制度を利用しましょう。

自分の就職支度資金だけでなく、事業にかかるお金、医療や介護、または子供の就学に関するお金など、幅広い支援が用意されています。

保証人がいれば無利子で借りられますし、いなかったとしても年利1%程度ですので、返済が苦しくなるような利子ではないでしょう。

もし、子供の大学進学にかかる費用を借りたいと思う場合には、教育一般貸付(国の教育ローン)も検討してください。こちらは子供一人当たり350万円と高額ですし、自宅外から通う場合には450万円まで借りられます。

金利は1.68%と低いので、計画的に返済していけるのではないでしょうか。

学生が自分で学費をなんとかしたいときは

教育一般貸付は、保護者に対して貸付をするものですが、日本学生支援機構の貸付は、学生本人に対して貸し付けるものです。

成績が特に優れていると認められた場合には、月額20,000円から無利子で借りることができます。

利子がつく場合も年利3%ですし、在学中は無利子です。

また、一般の大学ではなく、看護師や助産師など医療関係の仕事につきたい人は、看護師等修学資金が利用できます。

国家資格を取得後、直ちに指定施設で5年間仕事をすれば返還免除となりますので、看護師を目指す人はぜひ利用してください。

自営業者が国からお金を借りるとき

自営業や個人事業主など、中小企業のオーナーがお金を借りるなら、日本政策金融金庫の一般貸付が適しています。

起業したばかりや、これから起業しようという人は、銀行からお金を借りることが難しい場合がありますので、そんな時こそ国の制度を利用するのです。

国民生活事業の一般貸付は、上限が4,800万円と非常に高額ですので、さまざまな事業に対応できるでしょう。

国からお金を借りる公的融資制度の申請方法や必要書類

何でもWEBから手続きが済んでしまい、スマホひとつで借入も返済もできる民間のサービスとは違い、公的な融資は書類を提出しに行くなど、手間もかかります。

必要書類が足りないと出直すことにもなってしまいますので、申請方法については事前によく確認しておくことをおすすめします。

生活福祉資金貸付制度の申請窓口や必要書類

国の貸付制度ですが、実務を行うのは都道府県の社会福祉協議会であり、実際の相談窓口は市区町村の福祉協議会となります。

福祉協議会は市役所の中にあることが多いので、市役所の貸付制度と勘違いされがちですが、あくまでも窓口は福祉協議会であるということを覚えておいてください。

<基本書類>

  • 本人確認書類:運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、健康保険証など
  • 住民票
  • 通帳またはキャッシュカードのコピー(金融機関名、口座名義人、口座番号などがわかるもの)

<ダウンロードして用意するもの>

  • 借入申込書
  • 借用書
  • 重要事項説明書
  • 収入の減少状況に関する申立書

ダウンロードできない場合には、社会福祉協議会の窓口で書類をもらえますが、現在は感染防止の観点から、郵送によるやり取りが原則となっていますので、電話をしてみましょう。

<住居入居費>

  • 不動産賃貸借契約書の写し
  • 自治体が発行する住居確保給付金対象者証明書

連帯保証人がいる場合には、その方の返済能力がわかる書類も必要になりますので、通帳やキャッシュカードの写しを提出します。

必要書類を用意したら、各市町村の社会福祉協議会に郵送しましょう。

臨時特例つなぎ資金貸付制度を利用するとき

この貸付は、住むところも仕事もなくて困っている人が利用するもので、他の公的支援の給付が決定していることが条件です。

こちらも社会福祉協議会が窓口です。失業給付や生活保護など他の公的支援の申請が受理されていることがわかる書類も用意してください。

他には、

  • 借入申込書
  • 通帳の写しなど振込先がわかるものの写し
  • 借用書

などが必要です。

求職者支援制度の申請方法

求職者支援制度は、ハローワークでの手続きと労働金庫での審査を経て、貸付を受けることができます。

まずは、ハローワークで貸付の申請を行い、「求職者支援資金融資要件確認書」を発行してもらうところから始まります。

職業訓練受講給付金の支給が決定されたら、上記の確認書と給付金の支給記録とともに労働金庫に持っていき、貸付の手続きを行います。

その後、労働金庫の審査を通過すれば、口座にお金が振り込まれることになります。

なお、振込口座に指定できるのは、労働金庫の口座のみなので、貸付を希望する人は労働金庫に口座を作らなくてはなりません。

国の教育ローンの申請方法

教育ローンコールセンターへ電話をして借入申込書を請求するか、もしくはインターネットから申し込みます。

<本人確認等>

  • 世帯全員が記載された住民票の写し(原本)
  • 運転免許証またはパスポート
  • 源泉徴収票または確定申告書(控)
  • 通帳や領収書など最近6ヶ月分以上の支払い状況のわかるもの

<学校関連>

  • 合格を確認できる書類(入学資金のみ)
  • 在学を確認できる書類(在学資金)
  • 使い道を確認できる書類(在学資金)
  • 住民票の写し、不動産賃貸借契約書等(自宅外通学)

運転免許証またはパスポートがない場合には、健康保険証を取扱支店まで持参する必要があります。

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度の申請

こちらは書類が多いので、漏れがないように注意しましょう。

<必要書類>

  • 保護者の源泉徴収票または確定申告書の写し
  • 申請書
  • 借用書
  • 請求書
  • 戸籍謄本または戸籍全部事項証明書
  • 印鑑登録証明書
  • 母子であることの民生委員の証明
  • 調査同意書
  • 連帯保証人の源泉徴収票または確定申告書の写し、印鑑登録証明書、同意書
  • 修学資金等は進学予定の学校の経費がわかるもの

まずは市区町村の窓口にて相談し、その上での申し込みになりますので、例えば多額の借金を抱えているなど、相談の結果によっては申請できないこともあります。

貸付が申請できるとなったら、上記の書類を用意して提出します。ただ、ここでも返済能力などを重点的に審査されますので、審査の結果によっては貸してもらえないこともあります。

なお借入には時間がかかり、1ヶ月〜3ヶ月程度かかりますので、必要な人は早めに相談した方が良いでしょう。

年金担保貸付制度の申請

事業を運営しているのは独立行政法人・福祉医療機構ですが、申し込みの手続きは金融機関となります。

「独立行政法人福祉医療機構代理店」と表示されている金融機関の窓口で申し込みをします。

なお、

  • ゆうちょ銀行
  • 農協
  • 労働金庫

は、受け付けていませんので、注意してください。

<必要書類>

  • 借入申込書
  • 年金証書
  • 現在の年金額を証明する書類(振込通知書、改定通知書等)
  • 実印および印鑑登録証明書
  • 本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、住民基本台帳カード等)
  • 使途の確認資料
どのようなことに使うのか、具体的に示さなくてはなりません。例えば、病気の治療費が足りないという場合位は、例えば薬の領収書や診断書、医療器具購入にかかる請求書など、何にいくらかかるのかを示すことが求められます。

連帯保証人を立てる場合には、保証人に関しても以下の書類を用意してください。

  • 連帯保証人の実印および印鑑登録証明書
  • 連帯保証人の本人確認書類
  • 借入申込者との続柄がわかるもの
  • 収入を証明する書類(源泉徴収票など)

国からお金を借りる公的融資制度は時間がかかる

公的融資は、そろえる書類が多いことと、審査にも時間がかかるので、民間の消費者金融のように即日融資には対応できません。

上記の貸付の中で最も早いのは、緊急小口資金ですが、これでも実際の入金までには4〜5日かかります。

遅いものは数ヶ月かかりますので、余裕を持って申し込みをしてください。

国から借りたお金が返せなくなったらどうなる?

決められた期限内に返済できない場合には、遅延利息がつくことになります。

たとえば、生活福祉資金の返済が遅れると、年利10.75%の利子がつきますので、なるべく期間内に返済したいところです。

他にも、求職者支援資金融資制度は年利14.5%、看護師等修学資金は年利14.6%と、銀行カードローンなみの利子がついてしまいますので、なるべく償還期間内に返済するがんばりましょう。

また、返済が遅れると、保証人のところに連絡が行きます。せっかく保証人になってくれた人に迷惑をかけないためにも、計画的な返済を心がけましょう。

生活保護は最終手段!国からお金を借りる他の方法を検討してから

生活保護は、返済する必要のないお金です。

しかし、仕事がない、貯金も底をついた、車など売って生活の足しにするものもないなど、もうどうしようもない、お金も借りられない人が利用する制度です。

ですから、今はお金に困っていても、働いてなんとかできるあてがあるなら、国の融資制度を使って生活を立て直した方が良いでしょう。

生活保護は最終手段です。いきなり生活保護を申請するおではなく、まず他に利用できる公的融資はないか、今回ご紹介したものの中から探してみてください。

国からお金を借りる方法はたくさんある!

銀行や消費者金融は、定職についていて安定した収入がないと借りることができません。しかし、国の融資制度を利用すれば、現在失業中でも借りることができます。

貸付ですので返済の必要はありますが、金利は低く、返済期間も長期のものが多いので、仕事を見つけて頑張って働けば、ゆっくりと返済していけるでしょう。

ただし国の制度なので、審査に時間がかかり、消費者金融カードローンのように即日融資には対応していません。また、提出する書類も多いので、事前にきちんと調べておくことをおすすめします。

決められた期間内に返済できないと、遅延利息がつくのは民間と同じですし、連帯保証人に返済の催促がいってしまいます。計画的に返済していけるよう、貸付を受けるときに今後のこともしっかりと考えておいてください。

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